「決勝戦 黒単コントロールvsエルドラージストンピィ」
第二回大会となった今回も多くの参加者の方に熱い試合を繰り広げていただいた
『きんこん神決定戦』
レガシーの部は前回から大きな変化を受けたゲーム内容となりました。
≪ギタクシア派の調査≫、≪死儀礼のシャーマン≫という2大カードの禁止を受けてテンポの変化を受けた青黒赤のコントロールデッキや墓地利用でアドバンテージを失うことなくゲームを進行していく青黒緑系のクリーチャーミッドレンジの弱体化。
様々な変化を受けながら新たなデッキで第二回のレガシーの頂点を目指します。
今回の参加者デッキは
4cレオヴォルド
白緑エンチャントレス
ANT
青黒緑コントロール
黒単
白青(奇跡)
白青(石鍛冶)
エルドラージ
と言った多種多様なデッキが集まった試合となりました。
参加者は皆顔なじみということもあって終始にぎやかなゲーム、試合の場でありながら笑顔や笑い声は絶えませんでした。
けれどもやはり試合は試合、朗らかムードではありますがその一手一手は真剣そのものです。
決勝戦は、相反するタイプのデッキの激突となりました。
驚異の速度で戦場を駆け抜ける異形の精鋭達で支配する『エルドラージストンピィ』
相手をその手中に収め戦場を黒く染め上げる『黒単コントロール』
最初のゲーム、予選ラウンドを上位で勝ち上がったエルドラージが先攻を獲得、後手となる黒単は1度マリガンを選択すると、少し悩んだ後キープ。1枚少ない状態からゲームをスタートします。
初手、エルドラージは≪古の墳墓≫から2点のライフを支払い2マナを出すと≪虚空の杯≫をX=1で唱えます。
1マナ呪文を縛られてしまった黒単は≪産卵池≫を出して手番を返すのみ、その後帰ってきたターンで≪エルドラージの寺院≫から≪エルドラージのミミック≫をテンポよく出し追随するエルドラージのコピーとなるべくその時を構えます。
次のターンで土地を出されると強大なエルドラージのコピーとなって攻撃してくる≪エルドラージのミミック≫いる状態で、黒単は≪ヨーグモスの墳墓、アーボーグ≫を出し黒2マナから土地破壊呪文≪陥没孔≫を唱え≪古の墳墓≫を破壊します。
土地を破壊されてしまったエルドラージ、しかしすぐさま2枚目の≪古の墳墓≫を戦場に出すと≪作り変えるもの≫をプレイ。≪エルドラージのミミック≫を≪作り変えるもの≫のコピーにすると3点のダメージを黒単に与えます。
速度で制圧してくるエルドラージ、それに対抗するために黒単は≪不毛の大地≫を戦場に出すと、今度は≪エルドラージの寺院≫をすぐさま破壊。そしてそのまま≪小悪疫≫をプレイ。
≪小悪疫≫は1点のライフと手札・クリーチャー・土地を各1枚ずつ全てのプレイヤーに生贄に捧げることを強要する凶悪な破壊呪文。自身にもデメリットをもたらしますが、相手の土地を破壊している分≪小悪疫≫のアドバンテージを得ることができます。
黒単は手札で≪虚空の杯≫で不要になってしまった≪暗黒の儀式≫、戦場の≪産卵池≫を生贄に。エルドラージは手札から≪現実を砕くもの≫、戦場から≪作り変えるもの≫と残り1枚の土地である≪古の墳墓≫を生贄に。土地がなくなります。
≪作り変えるもの≫を生贄に捧げたことで、能力が誘発しますが。公開されたのは2枚目の≪現実を砕くもの≫、手札には入りますが土地がない状態の今はハズレカードとなってしまいます。
壊滅的な被害を受けたエルドラージ。こちらも≪不毛の大地≫を出しますが、土地がない今無暗に破壊することも難しいと判断し≪エルドラージのミミック≫で2点のダメージを与えるのみに留まります。
大きな減速を与えチャンスとなる黒単。戦場に≪冠雪の沼≫を出すと強力な手札破壊≪トーラックへの賛歌≫を唱え、エルドラージの3枚しかない手札を2枚抜き去ります。
完全に失速させられたエルドラージ。新たな土地を得ることができずに2点の攻撃をするのみ。
そしてついに黒単が動き出します。戦場に≪ミシュラの工廠≫を出すと黒が誇る最強のプレインズウォーカー≪ヴェールのリリアナ≫が戦場に舞い降り、マイナス能力で相手の≪エルドラージのミミック≫を葬り去ります。
完全に封じ込められたエルドラージ、相手のエンドカードである≪ミシュラの工廠≫を≪不毛の大地≫で破壊しますが。その後しばらく展開できず≪ヴェールのリリアナ≫のプラス能力で手札を奪われ続けます。
ライブラリートップの引き勝負とされてしまったエルドラージ。土地は展開することができますが肝心のアタッカーを引いても的確に処理され、再び登場した≪ミシュラの工廠≫にじわじわと削られてそのまま投了。
黒単 1-0 エルドラージ。
2ゲーム目。
初戦を落としてしまったエルドラージ。次も先攻となりますが、先ほどの展開とは変わって≪エルドラージの寺院≫から≪果てしなきもの≫をX=2でプレイ。アグレッシブに攻め込んでいく選択をします。
後手、黒単は≪虚空の杯≫が置かれなかったことを機に≪暗黒の儀式≫から黒3マナを出すと≪小悪疫≫を唱え一度戦場を更地にしてリセット。高速戦法のエルドラージに待ったをかけていきます。
ゼロからやり直しを強いられたエルドラージ。2ターン目は≪古の墳墓≫から≪漸増(ぜんぞう)爆弾≫という流れでエンド、1ゲーム目の≪ヴェールのリリアナ≫対策として置かれます。
ターンが返ってきた黒単は、≪ヨーグモスの墳墓、アーボーグ≫を置くのみでエンド。
先手の強みを生かしたいエルドラージは≪魂の洞窟≫をエルドラージ選択で置くと≪作り変えるもの≫を戦場に、スピードを緩めることはしません。
対する黒単は返しのターンで≪不毛の大地≫で≪古の墳墓≫を破壊、手札から再び≪暗黒の儀式≫≪トーラックへの賛歌≫で手札を締め上げます。
次のターン、エルドラージも≪不毛の大地≫で≪ヨーグモスの墳墓、アーボーグ≫を破壊し≪ヴェールのリリアナ≫が出てしまうまでの時間を稼ぎその間に≪作り変えるもの≫で確実に相手のライフを削っていきます。
その後も手札、土地、クリーチャーの破壊の応酬でしばらく膠着していきますが。エルドラージが≪アメジストのとげ≫を戦場に出すと、クリーチャー以外の呪文にコストを増やされた黒単は動きづらくなってしまいます。
残りライフが少ない状態、エルドラージは≪果てしなきもの≫に全力でマナを払い巨大生物として戦場に。苦しくも黒単の≪小悪疫≫≪無垢の血≫などで除去しますが、最後は≪現実を砕くもの≫が戦場を駆け抜け黒単のライフを削り切ります。
黒単 1-1 エルドラージ
最終戦。
最初で最後の先攻となる黒単。
入念にシャッフルをしながら、試合の疲れをため息に乗せて出します。
今日すべてマリガンスタートとなった黒単、最後のゲームも考えますがマリガンを選択し占術で見たトップをそのまま上に置いてスタート。
最初の挙動はこのゲーム初の≪思考囲い≫からスタート。
この時の初手が
荒地
不毛の大地
エルドラージの寺院
果てしなきもの
難題の預言者×2
エルドラージのミミック
と何もなければ恐ろしく好手という状況。かなり悩んでディスカードを選択したのは≪エルドラージのミミック≫でした。
再び初速をもがれたエルドラージ、しかしここは焦ることなく≪エルドラージの寺院≫から≪果てしなきもの≫という動き。
次のターン、黒単の≪トーラックへの賛歌≫がここ一番の効果を発揮します。
なんと、ランダムに選択したはずの相手の手札から綺麗に≪難題の預言者≫2枚を引き当てる強運。2ターン目にして手札には土地しか残っていない状況になってしまいます。
「あぁー」とこれには堪らなく声を上げるエルドラージサイド。引き次第とは言え次のターン出せるかもしれなかった≪難題の預言者≫をあっさりと手放すことに。帰ってきたターンで≪荒地≫を出して≪果てしなきもの≫で攻撃するのみに至ります。
相手の大型クロックを上手く削いだ黒単。≪ミシュラの工廠を≫戦場に出すとその勢いで2回目の≪トーラックの賛歌≫を唱えます!そして3枚しかない手札から落とした2枚は≪不毛の大地≫と≪現実を砕くもの≫……!
最終戦で驚異の破壊力を見せます。
しかし、きんこん神決定戦をその手で決勝まで登ってきた二人。一方的に神がかるなどということはないのです。
次のドローでエルドラージ、≪エルドラージの寺院≫をドローで引き込むとなんと3枚目の≪難題の預言者≫をプレイ!
≪トーラックの賛歌≫から逃れた最後の1枚が3枚目の≪難題の預言者≫だったのです!
≪難題の預言者≫が戦場に出たことで、このゲーム初めてエルドラージから相手の手札への介入を行います。
残された2枚の手札は≪小悪疫≫と、唱えた際に望むライフを支払うことでクリーチャー全てに支払った分のマイナス修正を与える≪毒の濁流≫。無論被害の大きい≪毒の濁流≫を追放します。
その後返しのターンで黒単が≪陰謀団のピット≫を戦場に出しますが、スレッショルドまでが遠くそのままターンエンド。
こうなれば犠牲を払ってでも相手のライフを削りきる勢いのエルドラージ。≪不毛の大地≫を引き込みすぐに影響のない≪陰謀団のピット≫よりクリーチャー化する≪ミシュラの工廠≫を即座に破壊。相手の戦場を開け2体のエルドラージクリーチャーで攻撃します。
しかしただでは引かない黒単、≪無垢の血≫≪小悪疫≫と連打し相手のクリーチャーを一掃。再び場をカラにされてしまったエルドラージは≪虚空の杯を≫X=1で置くに留まります。
その後≪産卵池≫が1点ずつエルドラージのライフを削っていく展開。
このまま勝負が決まってしまうのか……!
だが、ただでは終わらないのが【きんこん神決定戦】
しばし引いた土地を置くだけに徹していたエルドラージ、今日4枚目の≪難題の預言者≫
を戦場に登場させると黒単が持つ1枚の手札から黒単最強最悪のワールドエンチャント≪ Nether Void≫を追放。しかし次のターンに≪ヴェールのリリアナ≫を着地させ、即座に≪難題の預言者≫を退けます。
黒単も、奇跡が起きない限り2枚になった≪産卵池≫でエルドラージの牙城を崩し終えるはず。
しかし。
エルドラージは奇跡を起こします。
≪難題の預言者≫を生贄に捧げられた見返りなのか、戦場を離れたことで誘発した能力で引き込んだのは≪エルドラージのミミック≫。黒単は≪エルドラージのミミック≫をそのままに≪陥没孔≫で土地を砕き≪ヴェールのリリアナ≫の忠誠度を増やしていきます。
その≪エルドラージのミミック≫がついに牙を剥く時が。
なんと次のドローで手に入れたのは≪現実を砕くもの≫!
≪エルドラージのミミック≫は≪現実を砕くもの≫と同じ5/5というサイズの超強力クリーチャー2体で相手の≪ヴェールのリリアナ≫とライフを削りに行きます。
この時の黒単のライフは8。クリーチャーのサイズは十分ですが≪エルドラージのミミック≫はサイズ修正のみでトランプルを持たないため≪産卵池≫にブロックされて通りません。なのでトランプルを持つ≪現実を砕くもの≫がマイナス能力をまだ使える≪ヴェールのリリアナ≫を退けることで次につなげる算段です。
黒単は≪産卵池≫を盾に≪エルドラージのミミック≫を防ぎ、≪ヴェールのリリアナ≫をやむなく戦場から墓地へ。その返しのターンで≪陰謀団のピット≫で≪エルドラージのミミック≫を、引いた≪悪魔の布告≫でキレイに場をリセットします。
しかし……!
エルドラージの本当の奇跡はここにありました!
なんと次のドローで引いたのは3枚目の≪現実を砕くもの≫!
これが神の一手なのか……!
無人の荒野を駆け抜け、黒単のライフを一気に3に!
黒単次のドローは≪冠雪の沼≫!
万策尽き、黒単は投了しました………!!!
試合終わって。
正反対のデッキ対決となりながら、ライブラリーの頂上から叩きつけるように一転攻勢が目まぐるしい戦いとなりました。
「えげつない戦いだった…」と勝利者は席を立ちあがり方の力を抜いて、最後は握手で互いの健闘を称えあいました。
エルドラージに愛された男。
まさにその言葉が正しい引きの強さを見せたゲームでありました。
苦しい戦いを制した、清水選手おめでとうございます!
デッキリスト きんこん神決定戦レガシー優勝【エルドラージストンピィ】
クリーチャー
果てしなきもの:4
エルドラージのミミック:4
作り変えるもの:4
猿人の指導霊:1
難題の預言者:4
現実を砕くもの:4
忘却蒔き:3
終末を招くもの:1
絶え間ない飢餓、ウラモグ:1
スペル
虚空の杯:4
厳かなモノリス:2
アメジストのとげ:2
全ては塵:1
土地
荒地:3
古の墳墓:4
魂の洞窟:4
エルドラージの寺院:4
不毛の大地:4
裏切り者の都:3
ヨーグモスの墳墓、アーボーグ:1
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